紙ひこうき衣料
 

そらん君の半ズボン体験記


今時の少年に半ズボンはムリか・・・そらん君の半ズボン体験記


 プロデューサー志望の友人の紹介により、プロダクション所属の子役そらん君に弊社のモデルをお願いすることになった。

東京で最高気温39.5℃を記録した翌日、そらん君と東武東上線のふじみ野駅改札口で落ち合った。

そのまま弊社スタッフの自宅に移動し、長ズボンから弊社の目玉商品であるデニム半ズボンにお召し替え。夏休みの初日でごった返す近所の大型店舗を散策してみた。私は人目がそらん君の半ズボン姿に集中するかどうかを観察していた。しかし、人々の視線が半ズボン姿に向かう様子はなかった。

喫茶店に入ると、実はそらん君も同じことを考えていた。

「もっとじろじろ見られるかと思ったけど、そんなことはありませんね。」

今の子ども社会は流行に従わないものに対する制裁が厳しいらしい。たとえば今はくるぶしまでの短い靴下が流行だそうだが、ハイソックスを履いて来た同級生がからかいで不登校に追い込まれたと言う。
「自分はハイソックスが好きだとは言えないの?」と聞いたら、「それならそれで面白い人になるでしょうけど・・・」とそらん君の答え。

冷房の効いた喫茶店ではそらん君も半ズボンはやや寒そうだったが、店舗の外へ出たらむっと熱気が押し寄せて来た。

そらん君が言った。

「半ズボンって涼しいし動き易いですね。」

店舗の前の公園で、完成商品を紹介するための静止画像を撮影する。そらん君がぽつりと言った。

「誰か力の強い奴が半ズボンを履けばみんな履くんだろうけども・・・。」

私はすかさず切り返した。

「子どもの社会で力が強い奴は勉強のできる奴でも運動のできる奴でも喧嘩の強い奴でもない。テレビに出られるキミの力が一番強いんだよ。」

トップの動画撮影では、そらん君にデニム半ズボンを着用してもらうつもりでいたが、そらん君は「これがいい!」とカーキ色の半ズボンを選択した。
私も、芸能人の審美眼を尊重することにした。何回かNGを出しがてら、そらん君はこんなことを言った。

「半ズボンに慣れて来ると、ハーフパンツがだらしなく見えますね。特に小さいは・・・。」

撮影を終えたあと、そらん君が私に尋ねた。

「○○さん(私の実名)は、あと30年遅く生まれていたら半ズボンを履いていたと思いますか?」

私は答えた。

「履いていなかったと思う。たぶん半ズボンというものを知らないままおとなになっていたと思う。だからそらん君も、今回俺から半ズボンを紹介されていなかったら半ズボンを知らないままおとなになっていたと思うよ。」

そらん君は言った。

「そうかあ・・・半ズボンを履いたのは生まれて初めてなんだけど、何か得した気分。」

夕方4時半にそらん君を帰したあと、考えた。

思い切って子どもたちに半ズボンを履かせてみること、半ズボンをからかう同級生がいれば毅然と対応すること、の2つを実施すれば今年の夏に半ズボンを復活させることも可能だと思う。
あとは通常の手段では半ズボンが入手できないことがネックになるわけで、そのネックの突破口として弊社が利用されればいいだろう。

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